【トップリバー】営業部のある農業!契約栽培で利益の見通しを!
「私はマグロと同じで泳ぐのをやめると死んでしまう。だから、走り続けているんです」
この言葉を残しているのは長野県御代田(みよた)町を拠点に農業生産法人を営むトップリバーの代表である嶋崎秀樹さんです。
トップリバーは10億円を超える売り上げを記録し、毎年のように耕す土地を広げ、独立する就農者を輩出しています。
私は嶋崎さんが執筆した「農業維新」、「儲かる農業」を拝読させていただきました。現代の農業において非常に参考になる部分があると感じましたので、紹介させていただきます。
スポンサーリンク
営業部がある
トップリバーにおいて非常に特徴的なのが、「営業部」があるということ。
嶋崎さんの言葉を借りると「100点+200点理論」。
これは農業なのだから生産において100点満点の100点を目指すのは当然のこと。しかし、その倍の労力を割いて200点満点の200点を目指していくのが「営業」の部分であるということです。
普通の企業において「営業部」があるというのは当然のことです。
しかし、農業においては長年の間農協という組織が生産物の全てを吸い上げ、それを全国に流通させてきた流れがあります。もちろんそのおかげで北海道にいながら沖縄で生産された野菜を食べることが出来、1年中同じ野菜が食卓に上るということが可能になりました。
しかし、こうした流れは様々な問題を生んでいます。大量生産大量消費を助長し、廃棄される野菜がものすごい膨大な量にのぼってしまっている現実も上げられるでしょう。
こうした問題点の中で重要なもののひとつに、「農家が考えなくなったこと」が上げられるかと思います。要は農協が全てを吸い上げ、流通させてくれるから農家は生産に没頭すればいいという流れになるわけです。
しかも、時代はちょうど化学肥料・農薬・機械化・バブルの時代でした。これが相まって、農家はある程度の一連の作業を繰り返していれば、大して考えなくてもお金が入り遊んで暮らすことが出来たのです。
その流れを断ち切るかのように最近では独自で流通を切り開き、全てを農協に出荷して後は任せたというやり方でやりくりをする農家ばかりではなくなって来ました。
しかしこれが実際のところきついんですね。生産現場に立ち続け、卸先と交渉をして出荷をしていくというのはなかなかに大変な作業です。自分が今何をしているのかを見失ってしまうほど忙しい状況になりかねません。
そこでトップリバーのように「営業部」を設けるのですね。
しかし、これは人材を生産部門以外に割くために、法人自体が潤っていなければ実現するのは難しいのです。
そこでトップリバーでは契約栽培が基本になっています。
スポンサーリンク
契約栽培の販売戦略
契約栽培はあらかじめいつの時期にどの程度の量を出荷するということを決めて栽培を行っていくという手法です。
これは昔ながらの農家であればあるほど嫌う傾向があるように感じます。天気などによって作業や収量が前後する仕事であるため、種を植える前から契約をして計画して農業を行うなんてことはにわかに信じがたいからですね。
しかしトップリバーでは、この契約の収量を満たすことが出来ない場合などは市場などでその野菜を調達してでも要求されている量を確保します。非常にビジネスライクと言った感じでしょうか。というか農業がビジネス感なさすぎるだけのようにも感じますが。汗
こうした契約栽培は、その野菜が全国的に調子が良く市場で飽和状態になって価格が低下したとしても、あらかじめ契約していた価格での取引きが可能です。
逆にいえば市場で価格が高騰していても、それより低い価格で取引を行う可能性があるというリスクを背負います。
しかし、この取引方法のいいところは自分の会社が今年度でどの程度の利益を確保できるのかという見込みが立つこと。
従来の農業では市場の価格次第、天気次第、野菜のでき次第によって価格が変動するため非常に利益の見込みは立ちづらいものでした。よくもまあ産業として成り立ってきたなと言う感じがしますが、それが一つの時代だったのでしょう。
こういった不透明な部分にメスを入れ、見通しの立つ農業を展開していくというのがトップリバーのやり方です。
借り物・中古を使用
これも当然といえば当然なのですが、コストカットのため自前の農地を持たず、農地はすべて農家から遊休農地を借りて農業を行い、資材や機械などは極力中古を使用して運営していくという手法をとっています。
これも一般企業では良くある手法でしょう。
ここまでみてきてわかるかと思いますが、別に特別なことはしていないのです。
従来の農業に比べると特殊と取れるような手法を行っていますが、やっていることは誰でも行えるようなことばかりです。しかし、それが経営するということなのでしょう。
農業と言うとやはり「生産」がフィーチャーされます。
もちろん、生産技術を向上し、人間にも環境にいい野菜を生産し食味を向上していくことは生産者冥利に尽きる所かと思います。しかし、経営が成り立たねば生活もしていけないというのが事実です。
今後はこのように経営感覚を持った農業者が必要になり、そうした生産者が農業を守っていく存在になるかと思います。
「努力すれば誰がやっても成果が出る経営でなければ意味がない。農業の仕組みをしっかりと理解する従業員と取引先がいれば利益は必ず出ます」
嶋崎さんの言葉が非常に心強いですね。
「カンブリア宮殿」に取り上げられた際には100万円のボーナスが入った封筒を手渡された従業員が映し出されていました。儲かっているからこその光景。何とも夢があるじゃないですか。農業はこうじゃなくちゃダメなんですよ・・・。笑
スポンサーリンク