とくし丸のビジネスモデル!全てがWINの移動型スーパー!
「とくし丸」という事業をご存知でしょうか?
カンブリア宮殿に取り上げられて一躍その名が世間に広まったのですが、そのビジネスモデルというのが非常に面白いので紹介します。
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ビジネスモデルというと、何かビジネス嗅覚がものすごい人間がさぞ利益をがっぽがぽ稼ぎ出すかのような印象を持つかもしれません。
しかし、まず言いたいのはこの「とくし丸」は利益優先型の事業ではないということ。先を読んでいくとお分かりいただければわかるのですが、関わる人すべてがWINであり、この事業が目指す最大の目的が利益ではないということがはっきりしています。
では、どのような事業なのか紹介していきます。
簡潔に言うと「とくし丸」は徳島県で行われている移動型スーパーです。軽トラックに食材や加工品などのをてんこ盛りに積んで訪問販売を行っていくという、どこにでもアリれたような事業形態。
しかし、そこには徹底された開拓精神と、誰もが抱える問題を解決しようとする思いと、少しの工夫が隠れていました。
始まり
とくし丸は移動型スーパーです。
そう、移動型スーパーなのです。
高齢者になるにつれて、歩いたら20分程度で到着できるよな場所にスーパーが立地していたとしても簡単にそこまで歩いて向かうことができなくなります。
「とくし丸」を紹介したドキュメント映像では、わずか100m先のスーパーに行くのにも手押し車がなければいけず、さらにその途中で2回も休みながら向かっている高齢者の方の映像が映し出されていました。
そうした「買い物難民」は全国に700万人いると言われています。住友達也さんはこう語ります。
「母親は車を運転できるのでまだマシですが、たまたま一緒にスーパーまで乗せていった近所のおばあちゃんの買い方が異常なことに気がつきました。『買える時に買っておかないと、次はいつ買えるかわからないから』と、一度に驚くほどの量を買い込むことが、買い物難民には当たり前になっていたのです」
http://www.projectdesign.jp/201510/pn-tokushima/002483.php引用
そんな移動が困難になり、生活圏がどんどん縮小していく中、スーパーがむこうからやってきてくれるというのは、若い世代の我々が創造するよりもはるかにありがたいことでしょう。
ドキュメントではこんな高齢者のコメントも流れていました。
「買い物が一番の楽しみ。」
部屋には孫の写真なども飾られていましたが、孫が遊びに来てくれるのなんて稀です。日常の楽しみというのはもはや買い物しかなくなってくるのです。それなのに体が言うことを聞かなくなってしまい、買い物にさえも行けなくなってしまっては、さぞつらいかと思います。
「とくし丸」の軽トラックが来て、販売員と話をしているお客さんは非常ににこやかであるのも印象的でしたね。
高齢者の巡回
また、なぜ「とくし丸」の代表である住友達也さんが移動型スーパーを始めようと思ったのかというのが、自分の両親がどんどん歳を重ねていき、それをなかなか見守ることが出来ないという理由も含まれているそうです。
これは親が存命の人ならば誰もが抱える問題であり、さらには自分の身にも降りかかることです。
最近問題視されている「孤独死」などもありますよね。
歳を重ねるというのは誰もが経験していきます。「とくし丸」は、そのような高齢者を定期的に巡回し見回る役割も担っており、それは町内会などのボランティアだけではなかなか十分に行えない点であります。
「とくし丸」がカンブリア宮殿に取り上げられた際に、私もテレビで視聴していたのですが、こんなところに人が住んでいるのか!!!と衝撃を受けるような家宅にも高齢者の人が一人で暮らしていたりして驚きました。
同時に田舎の高齢者の問題は非常に色濃いものなのだと痛感しました。
「とくし丸」の巡回リストには、顧客だけではなくちょっと心配な高齢者の方のところに顔だけ出すというリストもあるのです。これって、まあ新規顧客の獲得につながる営業の一面も兼ねていますが、すごい今の社会にとって必要なことですよね。
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徹底した開拓
さて、では事業っぽい話に移っていきます。笑
移動型スーパーというのが結構すでにやられているものであるのに対して、なぜここまで「とくし丸」が熱く取り上げられているのかという理由について、まず言えるのが徹底した開拓を行っていることです。
「とくし丸」の顧客は山間地などの田舎に住む、移動手段が乏しく、移動が困難になっている高齢者です。
そのため、スーパーや商店などの半径300m離れた地帯を自分たちが開拓すべき地帯とし、そこに該当する住宅一軒一軒に歩いて訪問して、一人一人に話をしていきます。
本当に歩いて一軒一軒回っているんです。笑
この時代にそんなやり方・・・って感じるかもしれませんが、こうしたアナログ的なところが「とくし丸」が大きく成長している理由だと思います。
移動型スーパーって利用したことある人はわかるかと思うのですが、最新のシステムを取り入れることによって、逆にわかりづらくなったり、ロスを出したくないから先に買いたい物提出してくれというシステムが多いですよね。
「とくし丸」はそういったものがありません。
週2回決まった曜日に軽トラで販売しに来てくれて、積んであるものを買うという非常にシンプルなシステムです。
こうしたアナログな開拓精神も高齢者とマッチする部分かと思います。
関わった人がWIN
先に紹介した「ロスを出したくないから先に買いたい物提出してくれというシステム」ありますよね?
「とくし丸」ではこういったことがないと書きました。
では、一体どういったシステムなのか気になりますよね。
「とくし丸」ではスーパーの販売委託という形をとっています。つまりどこぞのスーパーと契約して商品の販売を代行しますよ、ということなのです。
スーパーとしては、「とくし丸」にて売れ残った商品に対して検品業務を行う作業は必要になりますが、売り上げは向上するということになります。
さらに、「とくし丸」の軽トラを運転する販売員は、個人事業主がになっています。その個人事業主が300万円を負担し、軽トラを購入することからこの事業に参入する形になるので、経費の分散もうまく行うことができます。
このように、「とくし丸」と「スーパー」と「個人事業主」がそれぞれの役割を担うビジネスモデルであるため、コストと利益が上手く機能するようになっています。
さらには顧客である高齢者の方にもWIN。
まさに最高のビジネスであり、痒い所に手が届いたビジネスになるのです。
10円ルール
一点このビジネスを支えているちょっとした工夫が「10円ルール」。
これは「とくし丸」が扱っている商品に対してプラス10円加算すると言うもの。住友達也さんは語ります。
「100円の商品は110円で、1000円の商品は1010円で販売するというやり方は、スーパーからは『なんて乱暴なんだ』と驚かれました。しかしこれは価格比率の問題ではなく、一つの商品をお店から玄関先まで届けるという付加価値に10円払ってくださいという仕組みであって、非常に合理的だと僕は考えています」
http://www.projectdesign.jp/201510/pn-tokushima/002483.php引用
以上が「とくし丸」のちょっと変わったビジネスモデルです。
こうした買い物難民である高齢者のマーケティングリサーチと言うのはなかなか取りにくい為に、食品業界としてもサンプルを試食してもらう機会として上手く活用したいところも多いようですね。
「とくし丸」では常連の高齢者の方々がたくさんおり、日常的にコミュニケーションをとっている信頼できる販売員がいますから率直な意見が効けるでしょう。
また、食品提供だけではなく例えばATMや郵便など、生活と密接にかかわるようなサービスを充実させていくという意向もあるようで、ますますその存在意義を確立していきそうです。
利益がっぽがぽと言うようなビジネスモデルではないですが、これが本来人が運営すべき形態なのでしょうね。勉強になります。
以上、「とくし丸」の紹介でした!
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