【ピロール農法】土に酸素を入れることで微生物が活発に!?
微生物を投入する資材ではなく、微生物が活発な働きを行えるようにするため、土の中に酸素をまかなう資材を使用しています。そこが、他の農法とはちょっと違った考え方かもしれません。
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ピロール
ピロール農法の「ピロール」とは、有機化学の用語で窒素を含む五角形の環状の有機化合物のことを指します。
そして、さらにピロールが環状に4個組合わさると、「ポルフィリン」という物質になります。このポルフィリンは「生きた有機化合物」と呼ばれることがあります。
それは、自分自身が触媒となって増殖することができるためです。まるで何かの菌のような感じですが、このポルフィリンがもとになっているものには、赤血球のヘモグロビン、ビタミンB12(別名:シアノコバラミン)、葉緑素のクロロフィル、生物エネルギーを生産するミトコンドリアの電子伝達系などもあるんです。
これらは、植物や人間が生きる上で、なくてはならない存在であるため、我々は知らないうちにポルフィリンのお世話になっています。
また、ポルフィリンは農業にとってかなり重要なもの。
というのも、糞尿や動物の死骸にはポルフィリンのかけらが大量に含まれており、一般的な有機農法ではこういった糞尿を堆肥として活用していますよね。ポルフィリンが分解した形のものを土づくりや、植物の肥やしにしているのです。
らん藻
しかし、ピロール農法ではこのポルフィリンの分解を促進させません。むしろ分解させずに微生物や植物に吸収してもらうという考え方でいます。ポルフィリンは葉緑体を構成するクロロフィルの元になるものですからね。
また、微生物に取り込まれることによって、他の物質の分解を促進する働きがあります。
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このポルフィリンの分解を止める働きをするのがピロール農法で使用される資材によって増殖が期待される「らん藻」です。
このらん藻は、土の中で酸素を放出してくれるという重要な働きもあります。らん藻は地球上の酸素を作り出したとも言われるものなのですね。
この酸素を土の中で生み出すことに着目しているのが、ピロール農法と他の農法との大きな違いと言えるでしょう。
従来の農法は、微生物が土の中で酸素を使って分解を促し植物の肥やしにするという考え方ですよね。しかし、これでは土の中の酸素が欠乏しがちとなって、それが原因で根腐れが起きやすいと考えられるのです。
「酸素欠乏」という問題点を克服することで、微生物も活発になるということです。つまりピロール農法では微生物を土の中に投入するのではなく、微生物が活動するために必要な酸素を供給して上げるということです。
これは同時に水質の浄化や、環境保全にもつながっていきます。
また、農薬などの分解・浄化も行うことが期待できるそうです。
ピロールエルゴン
ピロール農法で使用される資材はピロールエルゴン(ピロール資材)と呼ばれています。
これは上記のようにらん藻を増やして土の中の酸素を増やすという目的です。これを使用することで、微生物からミミズやカエルなどの小動物など、たくさんの生き物が住むようになるそうです。これによって結果的に土が豊かになるということです。
また、この資材はアルカリ性らしく、強い酸性を示す土壌が多い日本では特に有用な資材ですね。これにより中性付近の土壌を好む植物に適した環境に出来る可能性があります。
また、らん藻が行う光合成によって、土中のミネラルが植物が吸収できやすい形になり、それによって栄養価が増大する効果も期待できるそうです。
以上がピロール農法です。
従来とは違った特徴を持つ農法。非常に面白いです。
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