雄性不稔のメカニズムとF1種子への利用をまとめてみた。

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雄性不稔
F1種を作成する際に欠かせない遺伝子欠損で起こる雄性不稔。
ビジネス化が進んでいる種業界では、その恩恵にあやかっていますが、どんな性質なのでしょうか?

今回は雄性不稔に関するお話。

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雄性不稔

漢字を見れば、何となく想像ができる言葉ですよね。

雄性不稔。

つまり、雄しべにおいて花粉ができない状態を指します。

最初に雄性不稔の植物が発見されたのは1925年、赤玉葱(イタリアンレッド)だと言われています。

この花粉ができないというシステムはミトコンドリアの遺伝子異常が引き起こすことだと判明しています。しかし、花粉ができないということは、子孫を残せないということ。これは生命の最大の目的を損なうことになりますから、植物としてもその修復を行いたいところ。

実は、そういった不都合な遺伝子はは、細胞核の遺伝子によって働きを抑えられるという機能を持っています。そのため、ミトコンドリアに異常があっても通常はそれが表面に出てくることはないのです。

しかし、栽培用に繁殖してきた植物では、ミトコンドリアに雄性不稔の性質がなく核に抑える遺伝子がない組み合わせが発達してきたそうです。

その中で、人が野生種と掛け合わせていくことで、ミトコンドリアは雄性不稔の性質を持つのに、核にはそれを抑える遺伝子がないという組み合わせが生まれたと言われています。

また、ミトコンドリア遺伝子は母系遺伝で子に伝わることが判明しました。

そのメカニズムというのは、精子にはおよそ100個のミトコンドリアが存在するのですが、その精子が卵子とくっつきます。そこで卵子内の細胞分裂の過程で精子から運ばれたミトコンドリアは分解されてしまうのですね。

そのため、すべてのミトコンドリアは、母親から受けつぐことになります。

これによって、母親株として、雄性不稔の株を選択すれば大量に雄性不稔の株を生み出すことが可能ということがわかりました。

 

 

 

F1種への利用

雄性不稔は、ミトコンドリア内の遺伝子の変異が原因で起こる母系遺伝ですから、雄性不稔株の子は雄性不稔になる、というのは上記に記載した通りです。

これを利用して、雄性不稔の株を生産し、それとかけあわせたい正常の株を交互に植えておけばF1種は簡単に生産が可能になります。

F1種は一代雑種と呼ばれており、形質が固定された固定種とは違って、直近の次世代に自分と同じような形質を発言する子孫は生み出せないのですが、F1種自体は商用に都合のよい形質を持った野菜を作り出すことができます。

 

そのため、大量生産・大量消費が基本となっている現代には重宝されていて、欠かせない存在になっています。

直近の次世代に自分と同じような形質を発言する子孫は生み出せないという記述でわかるかと思うのですが、ここから種取りをするということは基本的にせず、農家は毎年種屋から種を購入しています。

こうしたF1種を生産するうえで雄性不稔は非常に都合がいいのです。

それまでは、こちらの自家不和性の記事でも触れていますが、大変な苦労の元、F1種を作っていました。1万人の学生をアルバイトで雇って、雄しべを摘み取る作業なんかもあったそうですよ。笑

気が遠くなりそうな作業ですね。しかも時期を間違えるといけないし、摘み取り忘れもあってはいけないため、非常に繊細な作業です。

こうした苦労から考えると非常に効率の良い作業になったと言えるでしょう。

 
 

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大根の起源

雄性不稔の研究から日本の大根の起源も分かったそうです。

日本の栽培ダイコンの多くには雄性不稔の性質がないと言われていました。これらは地中海周辺のダイコンを先祖に持ち、ユーラシア大陸を東に渡って、中国を経由して日本にもたらされた種類であるためと考えられていました。

しかし、舞鶴地方などのいくつかの大根で雄性不稔が見つかりました。そこで調査を進めてみたところ、日本の海岸部に自生する野生のハマダイコンであることが分かったそうです。

このような結果が派生的にわかるというのは面白いですね。

このような大根から同じアブラナ科の菜種で雄性不稔の株が作られました。
大根と菜種・・・かけあわすのに想像が付きませんがどのように行っているのでしょうか。

 

 

 

雄性不稔を派生させる

まず、雄性不稔の大根と正常な菜種の種をまきます。そして、花が両方咲いた時に、二酸化炭素をハウス内に入れて、二酸化炭素の濃度を上げます。

二酸化炭素濃度を上げることによって、自然界では行われない交配も行えるようになるそうです。汗
おそろしや。

そこに、二酸化炭素の濃度を上げても影響のないミツバチを投入し、交配させます。

こうして、大根50%、菜種50%の株が誕生し、雄性不稔が母親株に伝えられることを利用して、大根が母親の株を選択し、この株と菜種をまた蒔きます。

それを続けていくことで、菜種の純度を高めていき、菜種の雄性不稔株が誕生するのです。

 

ほほほーおそろしい。笑

 

 

 

雄性不稔は発現しないだけで自然界にも存在します。核の抑制物質が欠損していたりする場合は発現します。言ったら自然界にもあるのですね。

雄性不稔が爆発的に普及したF1のせいで、それを食している人間の精子減少に影響があるという仮説を提唱している人もいます。

しかし、自然界にも存在するものなので・・・どうなのでしょうか。

まあ、でも決して気持ちのいいものではありません。人工的に雄性不稔株を作り出し、我々が食しているほとんどがもしかしたら雄性不稔かもしれません。

普通に考えて影響ありそうですが・・・皆さんはどう思うでしょうか?

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